ペットの高齢化や病気の治療・看護において注目されている「酸素室」。動物病院でも導入が進み、自宅で使えるレンタル酸素室も増えてきました。
しかし、導入を検討する飼い主さんの中には、こんな疑問や不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
「本当に効果があるの?」「高額って聞いたけど、費用対効果はあるの?」
今回の記事では、ペット用酸素室の主なデメリットと、その対策方法を詳しく解説します。ぜひ参考にしてみてください。
ペット用酸素室とは?

酸素室とは、室内の酸素濃度を高めて呼吸や心臓に負担をかけずに酸素を取り込める空間のことです。人間の医療用にも使われており、以下のようなペットに使用されるケースが多くあります。
- 呼吸器疾患
- 心臓病
- 腎不全に伴う貧血
- 高齢や衰弱による呼吸機能の低下
ペット用酸素室のデメリット6選

ここからは、ペット用酸素室の代表的なデメリットを紹介します。
高額な費用がかかる
ペット用酸素室のデメリットの一つ目は、高額な費用がかかることです。レンタルであれば月1~3万円、購入だと数十万円が相場といえるでしょう。
また、酸素濃縮器の電気代もかかるため、長時間使用するならコストは無視できません。そのため、短期利用の場合はレンタルで十分といえます。ペット保険の対象になることもあるため、事前に確認しておきましょう。
騒音が気になることもある
二つ目は、騒音が気になることです。酸素濃縮器の稼働音が40~50dB前後(エアコンや扇風機レベル)と、静かな部屋ではやや気になるケースも。
設置場所を選んだり、サイレント仕様の機種を選んだりなどの工夫が必要です。
長時間の使用はストレスになることもある
三つ目は、長時間の使用がストレスになることです。ケージ内に長時間閉じ込められると、犬や猫が不安やストレスを感じる場合があります。
目の届く場所に設置したり、短時間から慣れさせる工夫が効果的といえるでしょう。
酸素濃度の管理が難しい場合がある
四つ目は、酸素濃度の管理が難しい場合があることです。市販機種の中には、酸素濃度を正確に表示できないモデルもあり、適切な環境管理が難しいこともあります。
酸素濃度付きの機種を選んだり、獣医師の指示のもと使用したりしましょう。
火気厳禁など安全管理が必要
五つ目は、火気厳禁など安全管理が必要なことです。高濃度の酸素は、引火リスクが高まるため、室内での喫煙や火の使用は厳禁とされています。
使用前に取扱説明書をよく読み、使用中は火の元に十分注意しましょう。
病気の根本治療にはならない
六つ目は、病気の根本治療にはならないことです。酸素室はあくまでも「対症療法(苦しさの緩和)」であり、病気を治すわけではありません。
補助的なケアとして使用し、獣医師の診断と治療を最優先に行いましょう。
デメリットを踏まえたうえでの活用ポイント

ペット用酸素室にはいくつかのデメリットがあることをご紹介しましたが、それを理由に「使わない」と決めてしまうのはもったいありません。
むしろ、デメリットを正しく理解し、それを避ける工夫をすれば、酸素室はペットの命を守る大きな助けになります。
「使う目的」を明確にする
酸素室は、どんな病気にも万能なアイテムではありません。たとえば、肺や心臓に負担がかかっている時や、発作の緊急対応として使うのが基本です。
「なぜ使うのか?」「どんな場面で使うのか?」を明確にしておくことで、無駄なレンタルや誤用を避けることができます。
こんな場合は特に効果的
- 発作や呼吸困難時の緊急対応
- 通院が難しい高齢ペットの在宅ケア
- 夜間・休日の体調悪化への備え
獣医師との連携は欠かせない
自己判断で酸素室を導入するのではなく、かかりつけの動物病院にまずは相談しましょう。必要な酸素濃度や使用時間、注意点などをしっかり確認しておけば、安全かつ効果的に使うことができます。
「医療機器」であることを忘れず、専門家の指導のもとで使うことが大切です。
「短期レンタル」から始めるのも選択肢
酸素室は高額な買い物なので、まずは1週間~1か月単位のレンタルから始めてみるのがおすすめです。実際にペットの反応を見ながら、「ストレスを感じていないか」「音は気にならないか」などを確認しましょう。
問題がなければ延長すれば良いですし、不要であれば中止することで無駄な出費を防げます。
「設置場所の工夫」でストレス軽減・安全確保
騒音や閉塞感に対するペットのストレスを減らすためには、設置場所が重要です。ペットが普段過ごしているリビングの一角など、飼い主の姿が見える安心できる場所に設置するのがベストです。
また、火気を避け、電源コードの位置にも注意して、安全に使える環境づくりを意識しましょう。
まとめ
ペット用酸素室には確かにデメリットもありますが、正しく使えば命をつなぐ強力なサポートアイテムです。大切なのは「とりあえず使う」ではなく、目的と状況に合わせた使い方。
導入を検討している方は、費用面・安全面・ストレス面をしっかり確認し、獣医師と連携しながら進めていきましょう。
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