大切な家族であるペットが呼吸を苦しそうにしている…そんなとき、自宅に酸素室があればすぐにケアができることをご存じですか?
近年では、犬や猫、小動物の在宅療養のために「ペット用酸素室」を導入する家庭が増えています。
本記事では
- ペットに酸素室が必要な時の症状
- 自宅での酸素室の使い方や選び方
- レンタル費用の相場
- 酸素室を使う際の注意点
などについて解説します。ぜひ参考にしてみてください。
なぜペットに酸素室が必要?

人間と同じように、ペットにも酸素療法が必要な時があります。特に以下のような症状が見られるときには、体が酸素不足に陥っている可能性があるでしょう。
- 呼吸が浅く、速い
- 口を開けて呼吸する
- 下や歯茎が紫がかっている
- 動きが鈍く、ぐったりしている
こうした症状の原因には、心臓病、肺炎、気管虚脱、腫瘍、老化による呼吸機能低下などがあり、すぐに動物病院での診察が必要です。
しかし、病院に着くまでの間や、退院後の在宅ケアでは、酸素室を自宅に用意することで命を守る可能性が高まります。
自宅に酸素室を導入する方法とは?

ペット用の酸素室には、大きく分けて2つのパターンがあります。
酸素濃縮器+専用ケージのセット
一つ目は、酸素濃縮器+専用ケージのセットです。これは、自宅で最も一般的な酸素室の形といえます。
酸素濃縮器で空気中の酸素を高濃度にし、チューブを通じて密閉されたケージ内に酸素を送り込みます。
酸素ボンベ式
二つ目は、酸素ボンベ式です。医療機関や緊急時に使用されますが、取り扱いが難しく、安全管理も必要なので一般家庭には不向きといえます。
現在では、動物病院や専門業者から酸素濃縮器と酸素室をレンタルするのが主流です。数日から数か月まで、期間に応じて対応してくれる業者も多く、必要な時だけ使えるのがメリットです。
ペット用酸素室のレンタル費用はどれくらい?
ペット用酸素室のレンタル費用は業者によっても異なりますが、おおよその目安は以下の通りです。
- 初期費用(設置・説明料):5,000~15,000円程度
- 1日当たりのレンタル料:1,500~3,000円程度
- 1か月レンタル:30,000~60,000円程度
上記に加えて使用する電気代が1日当たり数十円~百円前後かかる場合があります。とはいえ、通院の負担や入院費用を考えると、在宅での酸素療法はコストパフォーマンスに優れているといえるでしょう。
酸素室を自宅で使う際の注意点

続いて、酸素室を自宅で使用する際の注意点について解説します。
密閉性の高いケージを選ぶ
一つ目は、密閉性の高いケージを選ぶことです。酸素濃縮器で供給される酸素は、チューブを通じてケージ内に送られます。
しかし、ケージのすき間から酸素が漏れてしまうと、ケージ内の酸素濃度は上がりません。酸素濃度が上がらなければ、呼吸を助けるという本来の目的が果たせなくなるため、酸素室の意味がなくなってしまいます。
大切なペットの命を守るためにも、「見た目」より「構造・素材・密閉性」を重視してケージを選びましょう。
酸素濃度の管理を忘れずに
二つ目は、酸素濃度の管理を忘れずに行うことです。酸素濃度が低いと効果が得られず、高すぎると健康被害(酸素中毒)を引き起こすリスクがあります。
適正な酸素濃度の目安は30~40%程度ですが、一部の疾患では50%前後を一時的に使用することもあるでしょう。酸素室の効果は、適切な酸素濃度が維持されているかどうかによって大きく左右されます。
酸素濃度の「見える化」と「調整できる仕組み」を整えて、安全で効果的な酸素療法を行いましょう。
長時間の使用は獣医師の指導を受ける
三つ目は、長時間の使用は獣医師の指導を受けることです。酸素室はあくまでも「応急処置」や「補助療法」です。
たとえば、「咳が出る」といった症状でも、原因が
- 心臓病による肺水腫
- 気管虚脱
- 呼吸器感染症
などで異なれば、必要な酸素濃度や仕様の時間も全く違ってきます。自己判断で長時間使用すると、かえって悪化する可能性も考えられます。
酸素室は便利で安心できる反面、使い過ぎや間違った使い方でリスクを抱える可能性もあるため、必ず獣医師の診断を受け、治療と並行して使用するようにしましょう。
酸素室は「備え」としての価値もある

近年では、心臓病や呼吸器疾患を抱える高齢ペットが増えています。突然の呼吸困難に備え、酸素室を事前に用意しておく飼い主さんも少なくありません。特に、
- 愛犬がシニア期に入った
- 呼吸器系の持病がある
- 夜間に行ける動物病院が近くにない
といった場合には、ペットの命をつなぐ「在宅ケア」の選択肢として非常に有効です。
よくある質問

続いて、よくある質問について回答します。
Q:酸素室は犬だけですか?猫でも使えますか?
A:猫、小動物(ウサギ・フェレットなど)にも使用できます。動物に応じたケージサイズを選ぶことが大切です。
Q:酸素室を使う時、ペットが嫌がりませんか?
A:はじめは警戒することもありますが、体が楽になると自ら入るようになる子も多いです。無理に入れず、様子を見ながら慣らしましょう。
Q:家にあるケージで代用できますか?
A:一部のケージは使えますが、酸素が逃げにくい「密閉性」が求められます。そのため、専用品を使うのが最も安心です。
まとめ
ペットの体調が急変した時、自宅に酸素室があるかどうかで命のリスクは大きく変わります。病院と連携しながら、飼い主自身がペットを守る手段として在宅酸素療法はこれからの時代に欠かせない存在です。
「もしもの備え」として、また「療養中のケア」として、あなたも酸素室のレンタルを検討してみませんか?
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